禅を聞く会

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毎年十一月の終わりころに群馬県曹洞宗布教部主催で「禅を聞く会」という法話の会が開かれております。

昨年は、前橋市のメモリードにおいて、メディア等に数多く出演されている駒沢女子大学の千葉公慈先生に講演をお願いしました。

その冒頭で「便利」と「人間らしさ」についてお話されました。遠くない将来東京~大阪間を七分で移動できるようになり、ロボットはどんどん進化してすでに、高性能なロボットはロボットでしかつくれない時代が今だそうです。人は苦労しなくとも、なんでも楽に、自分の思い通りにできる時代になるだろう、そう話していました。

ただ、それが人間らしさか?とも問題提起されました。最近の小さな子どもたちの絵には、手足が描かれなくなり代わりに頭や目ばかりが大きく描かれるようになってきたそうです。

今の世の中、ゲームやテレビ携帯電話の発展で、情報が溢れ、視覚中心の世の中になってきてしまっているその影響。情報の中で知った気になって本当に大切な心が失われてきているのではないか?と話されていました。

飲み水、トイレ、お風呂と生活に欠かせない水一つとっても、昔は川から汲んできた水、井戸からつるべで汲み、そのうちにポンプで井戸からくみ上げられるようになった。そして今は捻るだけで、汗一つかかずいくらでも出てくる。そのうち、いったいどうなるのか?

水を例にだしましたが、食材でもなんであっても自らの手でしたことがなければ、もの大切にすると教えてもその実感が湧かない、自らするということの大切さ。そして、現代で低年齢層の腰痛や運動機能の低下がニュースになるほどですが、便利になればなるほど、退化してゆく人間の身体。

便利と幸せはイコールではない。これから一人一人が人間らしさ、とは何か考えていかなければいけない世の中になるのではないのではないでしょうか?

2018年1月20日